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カメラ・ダイアリーです。COCOROの向くままカメラの向くまま・・・。


by hibari0929

森の入口


森の入口_c0202113_15141136.jpg


私の暮す地域は坂が多い。
何十年か前まで、坂を登ると、森が北から南へと
人々の暮しに立ちはだかるように連なっていた。
古老は当時、地域全体が「郡」と呼ばれていた時代、
この北から南へと連なる尾根の森を「九里の土手」と呼んでいた。

「山向こうの集落」へ行くには、人一人が通れるほどの道を
歩いて坂を登って下り、また坂を上って行かねばならなかった。
直線距離にすれば、大した距離ではないが、
曲がりくねった坂を登りつ下りつしながら出かけていくには
この深い暗い森の中を歩いていかねばならなかったのだ。

昭和の30年代頃までは、山は貴重な財産だったから
皆奇麗に手入れがされていた。
それでも、暗い道で見知らぬ人と出会うのは
恐かったに違いない。
当時は行商の商いを営む人も多かったから、
彼らはこのほの暗い道を通って
次の村へと向かったのだった。



悪戯をして、なかなか寝付かないちいさな子供を寝かせつける時。
当時の爺・婆は、「ほれ、雨の降る日、
そこの坂で狐の嫁入りに出会っただの、
暗い道を提灯下げて歩いていると、向こうから誰かやってくる。
提灯の明かりが大分近づいて、挨拶しようとしたら、狐だったとか・・・・・」

「田んぼの向こうからゆらゆらと灯りがやってくる。
目の前まで来たらふっと消えたんじゃぁ。」
そんな話をして、悪戯共を震え上がらせ大人しくさせたものだった。
え・・・・私の年がバレルゥ・・・・?それはご勘弁。

夜は漆黒の闇。
家の中も寝静まってしまえば漆黒の闇。
夜、お便所に立った時、家族でも闇の中で出会えば、やはり恐ろしいものだった。
そのせいか、昔の子供はおねしょをする子が多かった。

私の幼い記憶の中に、恐い話と共に
北から南へと連なる、堂々とした森の連なりが今でもはっきりと蘇る。



hibari
2014.5.18
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by unjaku | 2014-05-18 15:49 | その他 | Comments(0)