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カメラ・ダイアリーです。COCOROの向くままカメラの向くまま・・・。


by hibari0929

懐かしの友人


思えばあの人は不思議な友人だった。

いつも孤高を好んでいるかのように近寄りがたかった。
懐かしの友人_c0202113_19101151.jpg


高校へ進学した時、
入学式のその日
「私がここへ来たのは間違いだったわ。」とつぶやいて私を驚かせた。

私も同じ思いだったから。

それなのに、そののち彼女は下級生の憧れの的になった。
いつも一人で登校し、独りで帰っていった人。
その背中には、話しかけられるのを拒んでいるような空気があった。
そのくせ、不思議な気品があり、
私は何とか彼女の壁を超えたいと思ったができなかった。
考えれば私も変人なのだった。





中学生の頃、彼女は男子達の間で、ひそかな人気があった。
しかし、そんな噂を私が聞いたのは、ずっと時が過ぎた後で
「そんなわけがあるわけないでしょう?わたしはずっとコンプレックスの塊で
学校へ行くのが辛かった。」
と彼女は本気で否定したものだった。

「へぇ~~」と私は驚いた。
いつも成績は優秀で、英文等を読ませれば、歌うがごとき流暢な発音で
その後教科書を読まされるのが辛かったほどだ。

そんな彼女が、冬の寒い日、窓の外をじっと眺めて
降り始めた雪を掌に受けとめていた姿と横顔が
何故か深く脳裏に刻まれている。

いつも本を抱えて、声をかけられるのをまるで恐れているように
ページに見入っていた彼女。


今どうしているのだろう。
家庭を持ったのは人づてに聞いたけれど
歳は同じように重ねたのだろうけれど
あの何ともいえない不思議な空気を醸し出していた彼女しか
やはり私には考えられないのだった。




hibari
2016.11.5
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by unjaku | 2016-11-05 19:36 | その他 | Comments(0)