思えばあの人は不思議な友人だった。
いつも孤高を好んでいるかのように近寄りがたかった。
高校へ進学した時、
入学式のその日
「私がここへ来たのは間違いだったわ。」とつぶやいて私を驚かせた。
私も同じ思いだったから。
それなのに、そののち彼女は下級生の憧れの的になった。
いつも一人で登校し、独りで帰っていった人。
その背中には、話しかけられるのを拒んでいるような空気があった。
そのくせ、不思議な気品があり、
私は何とか彼女の壁を超えたいと思ったができなかった。
考えれば私も変人なのだった。
中学生の頃、彼女は男子達の間で、ひそかな人気があった。
しかし、そんな噂を私が聞いたのは、ずっと時が過ぎた後で
「そんなわけがあるわけないでしょう?わたしはずっとコンプレックスの塊で
学校へ行くのが辛かった。」
と彼女は本気で否定したものだった。
「へぇ~~」と私は驚いた。
いつも成績は優秀で、英文等を読ませれば、歌うがごとき流暢な発音で
その後教科書を読まされるのが辛かったほどだ。
そんな彼女が、冬の寒い日、窓の外をじっと眺めて
降り始めた雪を掌に受けとめていた姿と横顔が
何故か深く脳裏に刻まれている。
いつも本を抱えて、声をかけられるのをまるで恐れているように
ページに見入っていた彼女。
今どうしているのだろう。
家庭を持ったのは人づてに聞いたけれど
歳は同じように重ねたのだろうけれど
あの何ともいえない不思議な空気を醸し出していた彼女しか
やはり私には考えられないのだった。
hibari
2016.11.5
いつも孤高を好んでいるかのように近寄りがたかった。
高校へ進学した時、
入学式のその日
「私がここへ来たのは間違いだったわ。」とつぶやいて私を驚かせた。
私も同じ思いだったから。
それなのに、そののち彼女は下級生の憧れの的になった。
いつも一人で登校し、独りで帰っていった人。
その背中には、話しかけられるのを拒んでいるような空気があった。
そのくせ、不思議な気品があり、
私は何とか彼女の壁を超えたいと思ったができなかった。
考えれば私も変人なのだった。
中学生の頃、彼女は男子達の間で、ひそかな人気があった。
しかし、そんな噂を私が聞いたのは、ずっと時が過ぎた後で
「そんなわけがあるわけないでしょう?わたしはずっとコンプレックスの塊で
学校へ行くのが辛かった。」
と彼女は本気で否定したものだった。
「へぇ~~」と私は驚いた。
いつも成績は優秀で、英文等を読ませれば、歌うがごとき流暢な発音で
その後教科書を読まされるのが辛かったほどだ。
そんな彼女が、冬の寒い日、窓の外をじっと眺めて
降り始めた雪を掌に受けとめていた姿と横顔が
何故か深く脳裏に刻まれている。
いつも本を抱えて、声をかけられるのをまるで恐れているように
ページに見入っていた彼女。
今どうしているのだろう。
家庭を持ったのは人づてに聞いたけれど
歳は同じように重ねたのだろうけれど
あの何ともいえない不思議な空気を醸し出していた彼女しか
やはり私には考えられないのだった。
hibari
2016.11.5